この言葉は、スマップの代表すべきヒット曲である『世界に一つだけの花』の歌詞に出てくる言葉になります。
この歌の作詞・作曲を手がけられた槇原敬之さんは自身のある不祥事により、逮捕されてしまった際、自分を見つめ直すために仏教に出会い、あるお経に影響を受けたそうです。
その時に「人生」をテーマにして、書き上げた楽曲の一つが『世界に一つだけの花』になります。そして、この影響を受けたお経になるのが、浄土宗寺院でよく読まれている、極楽浄土の様子が描かれた、『仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)』になります。
『仏説阿弥陀経』とは浄土宗では阿弥陀様がおられ、亡くなった方、つまりご先祖様達が住んでいる争いや苦しみのない平和な世界である極楽浄土の様子をかいたお経であります。
槇原さんは、特にこの中の「池中蓮華 大如車輪 青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」という部分に感銘を受け、歌詞を書かれたと言われています。
「(極楽浄土の)池に咲いている蓮の花は、その大きさが車輪のようであり、青い花は青い光を、黄色い花は黄色い光を、赤い花は赤い光を、白い花は白い光を、それぞれ放ち綺麗に咲いている」
これは「世界に一つだけの花」と同じ様に「赤い花が青い花になる事はないし、他の花になる事も出来ない。でも、他とは違うことに優劣はなく、それぞれが違うからこそ素晴らしいのだ」というような意味になります。
これは私たちに例えると、成績が良くなくても、スポーツが苦手でも、たとえお金がなくても、幸せに暮らしている人は大勢います。逆に、成績が良くてスポーツも万能なのに、お金を多く持っているのに、不幸な人も多くいます。
歌詞の中に「世界に一つだけの花、一人一人が違う種を持つ。その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい」とあります。
思えば私たちは、生まれたままの自分を全て受け容れてもらえる事はありません。誰かのために、何かのために役立つように努力をして、人と比較をされながら生きています。
青い花として生まれたのに白く光ることを強いられたり、赤い花として生まれたのに、黄色く光らなければならなかったり。それはこの世に生きている以上、それは仕方のない事なのかもしれません。
しかし、浄土という世界は私たちの生きるこの世とは全く違う世界です。生まれたままの私がまるごと受け容れられ、本当に自分らしく輝くことができる世界なのです。
槇原さんは「自分に植えられている種を真剣に見つめて、きちんと水をやろう。そうすればその種が相手にもあることに気付くはず。競う相手は他人ではなく自分自身だ。」と言っておられます。
他人と比べて苦しくなる前に、まず、ありのままの自分を受け入れて、あなたらしい綺麗で素敵な世界に一つだけの花を咲かせてみませんか。
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