2月お寺のお便り(涅槃会のお話)

お寺の話

新しい年が始まりました。大寒波の到来で、雪化粧した京都は、より一層の美しさを増しています。暦の上でも寒に入り、冬もいよいよ本番ですが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

2月15日はお釈迦様が入滅された、涅槃会にあたります。涅槃とはお釈迦様がクシナーラの沙羅双樹のもとに横になられ、亡くなられた日のことをいいます。

涅槃会とは

この涅槃とは、煩悩が一切なく穏やかな心でいることを指すもので、お釈迦様の教えの最終到達地点といえます。お釈迦様の大切な教えに、諸行無常(しょぎょうむじょう)・諸法無我(しょほうむが)・涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)の三つがあり、これをまとめて三法印といいます。

《三法印とは》

諸行無常(しょぎょうむじょう)

 この世に変わらないものは何一つなく、すべては変わり続けているということ。

諸法無我(しょほうむが)

 この世の一切に変わらない実体はないということ。

涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)

 苦しみが滅して救われた世界のこと。

「涅槃寂静」とは「解脱」とも「悟りの境地」ともいわれるもので、これに達することができたとき、人は輪廻転生のくり返し(苦のくり返し)から抜け出すことができるといわれています。

苦しみから抜け出す方法とは

では、どうすれば苦のくり返しから抜け出せることができるのか。

それは、お釈迦様が亡くなる直前にお弟子さんに残された「ものごとは移り変わっていく、怠ることなく日々精進しなさい」という言葉の中に答えがあるのではないかと私は思います。

『諸行無常』の『諸行』とは、「すべてのもの」。『無常』とは、常が無いということで、「続かない、変わらないものはない」ということです。

ですから、「すべてのものは続かない・必ず無くなるときがくる」という意味になります。まさに、お釈迦様の最後の言葉なのです。

大切な人の命も、大切にしていた物も、そして、自分の命も必ずなくなるときがきます。

しかし、いつかなくなるものとは思えずに、いつまでもあるかのように思ってしまいがちです。大切にしていればいるほど失ったときの苦しみは深くなるのに、いつまでもあるかのように思って迷い、裏切られて苦しんでしまうのです。

では、どうすればいいでしょうか。

それは、「すべてのもの」は移り変わっているので、悪い状況で苦しんでいたとしても、希望を持ち続けていれば、悪い状況は続かないということなのです。

もし、自分が悪い状況で苦しんで、目の前が真っ暗闇に覆われてしまった時、一旦立ち止まって周りを見てみるようにします。

そうすると、希望の道が必ずあることに気付き前に進めるのです。

もがき苦しんでいる時に冷静になって考えることは難しいかもしれません。そんな時は、ただ立ち尽くすだけでもいいのです。

そうして、しばらく時が経ち、一歩踏み出すことができたとき、必ず希望の光が差す時がくるのだとお釈迦様は私たちに伝えてくれているのです。

まとめ

この世の中は楽しいことも苦しいことも様々ありますが、そのことに一喜一憂することなく、お釈迦様が残された「ものごとは移り変わっていく、怠ることなく日々精進しなさい」という言葉を大切にして執着を出来るだけ少なくして目の前のことに精進していく所存であります。

二月のお寺の日にはお釈迦様がクシナーラの沙羅双樹のもとに横になられ、お弟子さんたちとお別れをされている様子が描かれた涅槃図の前で皆さまとお勤めをしますので賑々しくお参り下さい。

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