3月 満福寺のお話

お寺の話

こんにちは、しゅうちゃんです。

だんだんと寒さが和らいでまいりました。満福寺の境内の梅もほころび始め、春の訪れを感じます。皆さんはお変わりなくお過ごしでしょうか。

お彼岸

3月はお彼岸の月でございます。

お彼岸の7日間は、仏教徒にとって大切な学びの期間であり、普段は当たり前に生きていますが、実は「不思議なご縁」や「お陰様」によって生かされていることに気付き、阿弥陀様やご先祖様に感謝の恩返しをする期間です。

恩送りとは?

皆さんは、「恩送り」という言葉はご存知でしょうか。

『ペイ・フォワード』という映画で、「世界をより良くするには、何をしたらよいか?」という課題が授業で出され、「自分が受けた善意や思いやりを、他の3人に送ること(ペイフォア―ド)で善意の輪が無限に広がっていく」というアイデアを十一歳の少年が発表しました。

そして、自分の周囲の人に対して、少年はペイフォワードを実践した結果、一見、彼の周囲は何も変わらなかったように見えましたが、善意の輪が本人には見えないところで徐々に広がっていくという映画であります。

「恩返し」とは基本的に恩をくださった方にお返しをする「一対一」のやり取りになります。

恩返しは、誰かに対して時間や労力を割いたことに対して、見返りがないと「私がここまでやってあげたのに」と相手からの見返りを期待してしまいがちになってしまいます。

しかし、「恩送り」は、誰かから受けた恩を、直接その人に返すのではなく、自分が受け取った思いやりある行為を全く関係のない第三者に受け渡していくという行為であります。

あなたからの「恩送り」を受け取った相手が、同じように何人もの人々に恩送りをしたら、そのあたたかな恩のバトンは次々と無限の広がりを見せていくというものです。

恩送りの例

  • 困った人に、率先して手を差し伸べる。
  • 道で、行列で・・・相手に順番を譲る。
  • 自分の靴を揃えるついでに、他の方の靴も揃えてみる。

  • 集まりの場で居心地が悪そうな人に、一声かけてみる。

  • 友人や後輩の話を聞いてあげる。

困った人に、率先して手を差し伸べる

仕事のやり方を教える、街で戸惑っている人に「お困りですか?」「お手伝いしましょうか?」と一声かける…。

少し勇気はいりますが、相手とのコミュニケーションがなければ恩を渡すこともできません。

あなたが声をかけることで、今まで何も起こらなかったことが起きるかもしれないのです。仕事はすべて縁から始まるという言葉がありますが、手を差しのべる・声をかけることで縁が生れるのです。

もし断られてもあなたが拒絶されたのではなく、あなたのお手伝いが今は不要だっただけのこと。

「相手が恩を受け取ってくれてホッとしてもらえたらラッキー!」くらいのゆったりした気持ちで、手を差し伸べてみてはどうでしょうか?

道で、行列で・・・相手に順番を譲る。

交通量の多い道を運転しているとき。なかなか道を曲がれなくてタイミングをうかがっていると、ふと間に入れてくれるドライバーさんが現れ、思わず「優しい~!」なんて口にしてしまうこと、ありませんか? これも一つの「恩」を受け取った瞬間。

あなたも同じように、自分の心の余裕を「恩送り」という形に変えて、道や順番を譲ってみる。それだけで立派な恩送りになります。

他にも、スーパーのレジ待ちでお菓子1つだけの会計のために並んでいる小さなお子さん連れの方に、「お先にどうぞ」と譲ってみることもできますね。

何人かで乗り合わせたエレベーターから降りるとき、「開」ボタンを押して、自分は最後に降りるというのも、急いでいる人にはとても助かる恩送りになるはずです。

玄関で、自分以外の人の靴も揃える 

自宅はもちろん、我が子が習い事で靴を脱ぐ時や、歯医者さんの玄関などで、自分の靴を揃えるついでに、他の方の靴も揃えてみてはいかがでしょう?

見た目の美しさはもちろん、履きやすくもあり、ちょっとしたたしなみと同時に恩送りの一つにもなります。

集まりの場で居心地が悪そうな人に、一声かけてみる

仕事や行事、家族の付き合いなどで、必ずしも気心知れたメンバーばかりではない人々が集まると、なんとなく居心地悪そうに一人で過ごしている方を見かけませんか?

もちろん自ら一人になることを選択しているケースもあり得ますが・・・もし自分がその立場だったら、と想像してみるとアウェイ感を抱いていることも多いものです。

そういう時に『どこの出身ですか?』『趣味は何ですか?』と一声かけてもらうことは、とても嬉しいものですよね。

いきなり馴れ馴れしく世間話までする必要はありません。

まずはにこやかに挨拶して簡単に自己紹介してみると、お相手に、想像以上に心ほぐれる感覚を抱いてもらえるかもしれません。

かつて先輩にしてもらったように、友人や後輩の話を聞く

ちょっと仕事で落ち込んだときや、逆に喜ばしい出来事があった時。上司や先輩が食事や飲みに誘ってくれて、話を聞いてもらったり、さりげなくアドバイスをもらったりしたことはありませんか?

じっくり話を聞いたり、元気づけたりしてくれたのに加え、最後にお会計でいつも多めに出してくれた先輩の姿。きっと「あなたに後輩ができたら同じようにしてあげてね」と、未来への想いを込めてくれていたのではないでしょうか。

話を聞くときのコツですが、私は以下のような聞き上手になれる「さしすせそ」をとても大切にしています。

  • 「さ」・・・さすがですね。最高ですね
  • 「し」・・・知らなかったです。
  • 「す」・・・すごいですね。素晴らしいです。素敵です。
  • 「せ」・・・センスありますね。
  • 「そ」・・・そうなですね。

先輩が恩送りをしてくれたように、あなたも後に続く人のために、時間やお金を使い、話を聞く――。かつてそれで自分が救われたように、自分の後輩にも、その気持ちをさりげなく受け継いでいく。

その行為は、同時に、かつての先輩への「恩返し」にもなるはずです。

まとめ

 お彼岸は当満福寺が大切にしている教えである、「六度満行」を実践する最適な期間であります。この期間にお墓参りをしてお先祖さまに感謝の「恩返し」を、ご縁のある周りの人には「恩送り」を実践してみてはいかがでしょうか?

一つの優しさが波紋のように広がって、もしかしたら世界を小さく変える一歩になるかもしれません。そう考えると、なんだかワクワクしてきませんか。

今月も一日一日を大切に、楽しく笑って過ごしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました