こんにちは満福寺の住職をしています。秀乘(しゅうじょう)です。
だんだんと寒さが和らいでまいり、暖かな春風が心地よい季節となりました。皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか。
3月はお彼岸の月でございます。お彼岸の七日間は、満福寺の大切な教えの一つでもあります『六度満行(ろくどまんぎょう』を1つでも実践していただいて、仏様やご先祖様からの教えを大切にして、心に感謝と喜びを持ちながら、幸せになるための一歩を踏み出していただく学びの期間になります。
六度満行とは?
「六度満行」とはいろいろな良い行いを6つにまとめられた仏教の大切な教えであります。
仏教お釈迦さまは、私たちが実行しやすいように、良い行いを6つにまとめられました。
それが、六度満行(六波羅蜜ともいいます)です。
その6つとは、
・布施(ふせ)・・・・・・他人に親切にする。
・持戒(じかい)・・・・・約束を守る。
・忍辱(にんにく)・・・・腹立たしいことがあっても態度に出さない。
・精進(しょうじん)・・・自分磨きをする。
・禅定(ぜんじょう)・・・心を鎮める。
・智慧(ちえ)・・・・・・ご縁を大切にする。
の6つになります。この6つに数え切れないほどの善行がおさまっています。
しかも、これら全てを実践するのではなく、どれか1つでも実行すれば、6つ全部したと同じことになるのが『六度満行』の特色です。
どれか1つでも大丈夫と言われると、「自分にもできるかも」と思えちゃいますよね。
『幸福の4つの因子』
近年、「ウェルビーイング」という言葉が注目を集めています。
この「ウェルビーイング」という言葉は「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」を指す言葉であり、医学や心理学の世界では「幸福」という訳語が当てられることが多いようです。
日本における、幸福学研究の第一人者である前野 隆司(まえのたかし)氏が「因子分析」という、多くのデータを解析してその構造を明らかにする手法により、幸せには4つの因子があることを導き出されており、これを『幸福の4つの因子』または『幸せの四つ葉のクローバー』と呼んでいます。
この「幸福の4つの因子」とは、
- やってみよう因子(自己実現と成長の因子)
- ありがとう因子(つながりと感謝の因子)
- なんとかなる因子(前向きと楽観の因子)
- ありのまま因子(独立と自分らしさの因子)
の四つからなります。順番に『幸福の4つの因子』を解説していきます。
やってみよう因子
まず、「やってみよう因子」とは、主体性にかかわる因子になります。夢や目標ややりがいを持って、「やってみよう!」と主体的に努力を続けられる人は、何も行動を起こさない人よりも幸せを感じることができるそうです。
ありがとう因子
次に「ありがとう因子」とは、多様な人とつながりを持ち、人を喜ばせたり、人に親切にしたり、感謝したりすることで幸せをもたらすというものです。
なんとかなる因子
「なんとかなる因子」とは、いつも前向きで、「自分のいいところも悪いところも受け入れる」という自己受容ができており、「どんなことがあっても何とかなるだろう」と感じる楽観的な人は、幸せになりやすいと言われています。
ありのまま因子
最後に、「ありのまま因子」とは、他の人に左右されずに、自分らしく生きていける人は、そうでない人と比べて幸福感を感じやすい傾向があると言われています。これらの「幸福の4つの因子」を高めることで、誰もが幸せになることができるのだと前野氏は言っておられます。
最後に
ただ、日頃からこの四つの因子をすべて心がけて実行していくことは、なかなか難しいかもしれません。
前野氏はせめて一つだけでもこの因子を実現できれば、自然と二つめの因子も実現可能になる。幸せな活動を心掛けていれば、雪だるま式に幸福度は高まっていくのだと前野氏は説明されています。
仏教の教えである「六度満行(六波羅蜜)」も同様に、普段の生活ではなかなか意識できなくても、お彼岸期間中の彼岸会法要やお墓参りなどを通して、この期間だけでも、まずは自分から幸せになるためにどれか一つだけでも意識して実践してみることが大切になります。
そして、一人ひとりが幸せを感じて動いていれば、家庭でも職場でも、幸せがだんだん広がっていくのだと思います。
明日からではなく、まずは今日から!満福寺の大切な教えである『六度満行』でも、前野氏が提唱している『幸福の4つの因子』を1つでもいいので実行してみる。
その一歩があなたの人生を幸せなものに変えてくれるきっかけになると思います。
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