新緑の美しい季節となりました。こんにちはしゅうちゃんです。
「そういうものに 私はなりたい」
5月満福寺門前掲示板
この言葉は皆様もよくご存じの「雨ニモマケズ」という詩の最後の一文になります。
「雨ニモマケズ」は宮澤賢治さんが結核になり、闘病中にメモ帳に書かれた、宮澤賢治さん最後の詩になります。
賢治さんは「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」など数多くの名著を残されていますが、実は有名になったのは賢治さんが亡くなってからだそうです。
この賢治さんのお父さん「政次郎さん」を主人公にした映画である。「銀河鉄道の父」が5月5日に公開されます。
公開に先立ち、門井慶喜さんの書かれた原作本「銀河鉄道の父」を読ませていただきました。
一言でいうと、とてもいい本でした。
政次郎は質屋を営み、裕福で何不自由のない生活を送っていたが、賢治はその家業を継ぐことを嫌がり、
突然、製飴工場を作ると言い出したり、人工宝石を売ると儲かるなどと、適当な理由をつけては金の無心をするような困った息子である賢治に対して、
厳格な父親であろうと努めるが、そんな息子を見捨てられず、ついつい手を差しのべてしまう。
この本の中に「子どものやることは、叱るより、不問に付す方が心の燃料がいる」という政次郎の言葉や、
こちらの意見を一方的に押付けるのではなく、「お前はどう思う」と意見を聞くなど、
ただ甘やかすのではなく、賢治や家族のことを愛し信じる気持ちが根底にあるのだと思い、現代の親子関係に通じる部分が多くあると思いました。
子育てとは花を育てるのと似ている部分が多くあると私は思います。
種を植えるだけでは花を咲かせることはできません。
綺麗な花をさかせる為には、水と太陽の力が必要になります。
そして、子育てでは、親が子どもに対して栄養のある食事を与え、政次郎のように自分にできる限りの支援や応援をしてあげることが水になり、
どんなときでも、その子を愛し、信じ続けてあげることが太陽の光になる。それに尽きるのだと思います。
賢治さんの作品の世界観は自然と人間が対立しない調和がもたらされた世界であります。
「雨ニモマケズ」の中に「そういうものに 私はなりたい」とありますが、
「なる」ではなく「なりたい」なのです。
賢治は家業を手伝っても役に立たず、本を出版するが全く売れず、また、最愛の妹を亡くすなど、何をしても上手くいかない時期が多くありました。
その中で賢治は「これでいいのだろうか」と悩みながらも、自分を愛し信じてくれる政次郎という存在がいることに気付けたからこそ、
諦めずに前を向いて進んでいった結果、
今でも「雨ニモマケズ」が世代を超えて多くの人に愛されているのだと思います。
賢治さんは政次郎やこれまでに出会ってきた多くの人を見て、自分には「なれない」かもしれないが、「父のような人になりたい」、「人や自然に優しい人になりたい」という思いが「雨ニモマケズ」には詰まっているのだと感じました。
この本を読んだ後に、今まで当たり前に見ていた「雨ニモマケズ」という詩が「あなたを信じ、愛しててくれ、応援してくれている人は必ず存在するよ、大切なのは最初の一歩を踏み出すことだよ。最初の一歩を踏み出せば、二歩目はうそのように楽になるよ」と自分のことを応援してくれている詩のように感じられ、今まで以上に大切な詩の一つになりました。
この記事に興味を持たれた方は、ぜひ5月5日公開の「銀河鉄道の父」を観に行ってもらい元気をもらい一日一日を大切にと思ってもらえると嬉しいです。映画に観に行く時間がないという方は門井慶喜さんの書かれた原作本である「銀河鉄道の父」を読まれてはどうでしょうか。
今日が一番若い日です。大切なのは最初の一歩を踏み出すことです。
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